この記事について
林商店の代表でもあり、Octetのバイヤーでもある林が、イタリア買い付けの際に感じた事を綴った特集になります。
僕達は、日本の男性がイタリアの魅力的なファッションを身に着けることで、さらに自信を持ち、元気に輝くことができると信じています!!
40代50代のおじさん世代も、イタリアのファッションは、スタイルと個性を際立たせるための最適な選択肢だと思っています。
今回は全6話ですので、最後まで読んで頂けたらすごく嬉しいです。
フランスへ
イタリアでの充実した日々を終えて、次の目的地はフランスです。
今回のフランス滞在は、これまでとは少し違う旅でした。パリだけではなく、広大なフランスを横断しながら工房を訪ね歩く旅。
ほぼ一日中車に乗っていた気がしますが(笑)、それもまた仕方がないことで。窓の外を流れる風景の移り変わりを眺めながら、これもこの仕事ならではの経験だなあと思っていました。
パリに滞在できた時間は本当に短くて、正直もったいなかったのですが、凱旋門だけはどうしても一度見てみたくて。無理やりルートに組み込んで、車の中から眺めてきました(笑)。いつかゆっくり歩いてみたいです。
そしてフランス語。これは本当に手ごわかったです。
イタリア語はなんとなく雰囲気で伝わることも多いのですが、フランス語は全く歯が立たず、スマホの翻訳アプリに全面的にお世話になりながら、なんとかコミュニケーションをとりました。
職人さんがスマホの画面を見せながら説明してくれる場面もあり、これがまた妙な温かさがあって(笑)。ほんと、スマホがあってよかった。
Philippe Audibert フィリップ・オーディベール
パリで最初に訪れたのが、
フィリップ・オーディベールの工房とブティックです。
パリの洗練されたショーウィンドウには、シルバーとゴールドのジュエリーが美しく並んでいて、思わず足を止めてしまう佇まいでした。
ブレスレット、バングル、ネックレス、リングと、シルバートーンを基調としたラインナップが、上質なディスプレイの中に整然と輝いていました。
工房の中では、職人さんたちが小さなパーツをひとつひとつ手作業で組み上げていました。
無数の金属パーツが並べられた作業台、ペンチを器用に扱いながらチェーンをつないでいく手元、精巧なブレスレットのパーツが並んだ治具……。
こういう光景を直接目にすると、アクセサリーひとつひとつへの見方がまったく変わります。こんなに手間と時間をかけて作られているのかと、改めて思ったのでした。
サンプルデザインも全て最初はデザイン工房の職人さんが作りあげるとのこと。あんまり邪魔になるので出来なかったのですが、精巧なチェーンを手作業で作る様は、どれだけみていても苦にならないぐらいほれぼれするものでした。
また、歴史を感じさせる円盤は、真鍮のボールを作る道具。わざわざ僕が日本から来たという事で、昔の手作り時代の機械を紹介してくれたのでした。
アクセサリーメーカーとして、歴史を感じさせてくれる工房。写真がぶれぶれで申し訳ないのですが……。
フィリップ・オーディベールのジュエリーは、女性だけでなく男性にも自信を持っておすすめできるブランドです。
シルバーのバングルやブレスレットを合わせるだけで、着こなしがぐっと洗練される。ぜひ手に取っていただきたいと思っています。
ネイティブアメリカン コレクション ── 今回の特別なセット
今回この訪問でお話しする中で、あらためて
フィリップ・オーディベールというブランドの起源を聞かせていただきました。
フィリップ・オーディベールのデザインのルーツのひとつが、
ネイティブアメリカンのモチーフにあります。大地と自然への敬意、力強さと繊細さが共存するその世界観は、ブランドが長年大切にしてきた精神そのものだと感じました。
この話を聞いて、僕はすぐに「これを日本のお客様に届けたい」と思いました。今回は、そのネイティブアメリカンの世界観を体現したコレクションを、セットで3種類オーダーしてきました。
今回入荷したのは、
ネックレス・ブレスレット・リングの3アイテム。同じデザインモチーフで揃えたセットになっています。バラで着けてもいいですし、重ねて着けることでぐっと存在感が増す、アクセ嫌いの人にも注目して欲しいそんな仕上がりになっています。
フランスの工房で生まれた、本物の職人仕事。ネイティブアメリカンへのオマージュと、パリらしいエレガンスが融合した、他にはない一点モノのような感覚を、ぜひ感じていただけたら嬉しいです。
ノルマンディーへ
パリを後にして、車でノルマンディーへ向かいました。
走れど走れど続く広大なフランスの田園風景を抜けると、やがて目の前に大西洋が広がりました。ノルマンディーの断崖絶壁と、どこまでも青い海。イタリアの明るい地中海とはまた違う、荒々しくも静謐な美しさ。
今回は、ノルマンディー上陸作戦の記念公園にも立ち寄りました。
第二次世界大戦の歴史的な舞台をこの目で見て、言葉では言い表せないものを感じました。映画で見た「プライベートライアン」の世界。本気でこの崖を登ったのか?そんなことは可能なのか?世界の平和を祈りつつこの崖の前に立ったのでした。
ファッションの買い付けとはまったく異なる文脈ですが、こういう場所に実際に足を運ぶことで、ヨーロッパという土地の重さを肌で感じることができました。この大陸には、服や靴だけでなく、人の歴史や記憶が深く刻まれている。歴史と文化。洋服に重みを感じさせてくれる、そんな事を感じさせてくれる場所でもありました。
Joséph Malange ジョセフ・マランジェ 靴工房へ
もう一つの大きな目的が、靴ブランド・ジョセフ・マランジェの工房訪問でした。
工房に入った瞬間、その空気感に圧倒されました。壁一面に積み上げられた色とりどりの革、長年使い込まれた機械、職人さんが黙々と手を動かす姿。
カット、縫製、成形、仕上げと、靴づくりのすべての工程がこの場所で行われています。
最新のデジタルCADプリンタも稼働していました。全て手作業だけでない、ハイブリットな工房。
革を選び、型を取り、縫い、形を整え、仕上げていく。その一つ一つの工程に、職人さんの長年の経験と誇りが宿っていました。言葉が通じなくても、その場の熱量はしっかりと伝わってきました。
職人さんが革の端切れを手で確認しながら、スマホの翻訳画面を通じて「これは革の厚みをそのまま活かしている」と教えてくれた場面は、今でもよく覚えています。
言葉の壁を超えて、ものづくりへの誇りと情熱が伝わってくる。その瞬間のことを、きっとずっと忘れないと思います。
フランスにも、こういう場所がある。そしてここから生まれる靴を、日本のお客様に届けたい。そんな気持ちをあらためて強くした訪問でした。
きっと2026年の春には、皆さんのお手元に、とっておきの一足をお届け出来る予定ですよ。