皆さんお久しぶりです。文です。
本当に久しぶりにブログを書きます。多分1年以上離れてたんじゃないかなと思います。
YouTubeをやるようになってからは、基本動画で話す感じがメインでしたが、僕自身は修正もきくし落ちついて伝えたいことを精査出来る、ブログはやっぱりいいなと改めて思います。
久しぶりにブログを書くことになったのは、オーダーシャツフェアの告知をしたいからです。
けど、毎回フェアの内容だけ伝えてても、あんまりおもしろくないなと思ったんで、告知は最後にさせて頂くとして、皆さんに改めてオーダーか既製品かはともかく、「良いシャツ」ってどんなものかご紹介しようかなと思います。
僕もかれこれ10着くらい、当店のオーダーシャツは作ってると思うんですど、「良いシャツとは」という角度からオーダーシャツの魅力が伝われば良いなと。
普段何気なく良いシャツって僕ら謡っちゃいますけど、具体的には何が良いのか、どこが違うのかそんなファッションの豆知識、皆さまにも知見としてこの機会にぜひお持ち帰り頂ければと思います。シャツに限らず洋服は全部そうな気もしますけど、僕が思う良いシャツの条件って、生地と仕立てこの2点だと思ってます。
まあ強いて言えば、この2点を踏まえた上でのフィッティングでしょうか。
一つが生地、そして仕立て、そして最後はそれら二つの条件を満たしたうえでの、着用感じゃないかなと思います。
生地
生地に関しては、正直好みです。
いきなりなんだよって思う方もいらっしゃるかもしれませんが、柔らかい生地がいいのかそれともハリやコシがあって、しっかりしたシャツがいいのか。
正直これって好みなんですよね。
それに、その時々で仕立てたいシャツによっても選び方は変わってきます。
ビジネスで通年着る為に選ぶ生地と、フォーマルシーンで着用する晴れの一着として用いるシャツの生地が、同じなわけはありませんからね。
言うまでもなくカジュアルも同様です。
ただ、一般的にとでも言いましょうか、高級素材とされる生地の共通点はあるので、ご紹介いたします。
写真 ※高級生地の光沢感のある感じ
シャツ生地は例外はいくらでもありますが、基本素材はコットンです。
ご存じの方も多いかもしれませんが、皆様が着用してるドレスシャツってそもそもが下着なんですよね。。。
しかも、今皆さまが着用してる肌着的な役割、なんて生易しいものじゃありません。
これは、アパレル業界に身を置くプロも結構勘違いしてるんですど、すごく昔ってぼくらが今穿いてるアンダーウェアとしてのパンツってないんですよね(笑)
じゃあ、トラウザーズの下に何を穿いていたのか?
正解はシャツです。
良く意味が分からないと思いますが、写真を見た方が早いです。
写真というか動画がありました。
この動画はリヴァプール国立博物館が公開している、ピリオド衣装の着付けシリーズなります。※探すのめっちゃ大変でした。。。
正真正銘18世紀上流階級男性の着付けです。
この男性が着用してるシャツを、見て頂けると分かると思います。
デザインは当然現代の物とは異なりますが、注目すべきは着丈です。
お尻もぐるっと隠れるほど長い着丈ですね、彼らはこの下にトランクスやブリーフは着用してません。
当時は、現代のシャツの丈よりもずっと長いシャツを着用し、前身頃の裾と後身頃の裾にボタンが付いており、それを留めて、下着として着用していたのです。
あいにく日本人には、ふんどしの文化があったので、ここまで定着しなかったという風に、言われてますがそういった歴史から、シャツは下着だと現代でも言われています。
肌着替わりなどではなく、本当の意味で下着なのです。
ではそんな下着のシャツですから、素肌に触れても快適な着心地が求められます。
そして、身に付ける素材は綿(コットン)が主流でした。
コットンは細い糸で織ったものほど肌触りがよく、高値で取引されています。
細い糸に適した原糸と言えば、ギザコットンや海島綿(シーアイランドコットン)が有名です。そうした糸を選ぶ目利きと仕入れ先を古くから持っていたのが、ヨーロッパのファブリックブランドだったりします。なので今でもステータスの高いファブリックブランドは、シャツでもヨーロッパのブランドが圧倒的に多いです。
シャツ生地の上質さを表す数値として、あくまで目安でしかないのですが、「番手」という表記を多用します。
「番手」とは、生地の糸の太さを表す単位**です。数字が大きくなるほど糸は細くなり、数字が小さくなるほど糸は太くなります。
高番手の生地は糸が細く、光沢や柔らかさがありますが、低番手の生地は糸が太く、厚みがあり丈夫で透けにくいという特徴があります。
コットンは、細番手であればあるほど上質とされており、希少価値も高いです。
当然仕上がりも格別で、着心地は繊細なほどきめ細かいなめらかな質感になり、しなやかさも加わります。
また、凹凸が少なくなりナチュラルな光沢感が際立つのも、重要なポイントです。
仕立て
二つ目は仕立てです。率直に僕はこちらの方が重要度は上と考えてます。
前にも述べましたが、生地に関しては最終的には好みで良いと思います。
しかし、着心地が良いシャツは確実に、良い仕立てをしてます。
ある意味、ある程度粗い生地でも、手の込んだ仕立てのシャツは正直着心地全然いいです。
けど、その逆は無いなとつくづく思います。
洋服の中でも、縫製テクニックの話は、クラシコ・ナポリ系のテーラードやシャツ好きなメンズにとっては、大好物な「蘊蓄」の塊です。
それぞれのメーカーが、数百年の洋服の歴史を通して培ってきた思想や技術が凝縮された結晶、それが縫製技術です。
ブランドの数だけ、職人の数だけ拘るポイントと理想が異なるので、これまた一概にこうとは言い切れないのですが、ある程度重要なポイントは同じなので、参考にしていただければ幸いです。
高級シャツの技術的な仕様ポイントをざっと上げれば
1:生地 2:運針 3:折り伏せ縫いor 巻き縫い 4:袖後付け 5:地縫い返し 6:ハンドの工程 7:釦 8:釦付け 9:ヨーク 10:裾仕上げ 11:芯
こんな所じゃないかと思います。
さすがにこれ全部は解説しきれないので、その中でも個人的に重要かなと思う、2:運針 3:折り伏せ縫いor 巻き縫い 4:袖後付け あたりはなるべく分かりやすく解説していきます。
シャツの運針とはステッチのピッチの事で、10mmないしは30mm間のミシン目の数を測ります。通常のシャツの運針は、30㎜間で、15~18針位、ドレスシャツになると21~22針超えてそのゾーンとして認めれるようになります。
細かければ細かい程、美しく高級と呼ばれる運針数ですが(あくまでドレスシャツにおいては)、その極みは「FRAY」のシャツが有名です。
出典
こちらが「FRAY」の運針でございます。
彼らは衿パーツで36針以上、身頃でも30針たたくのだそう。
線のように美しく、その「技術」、「針の開発」も含め、希少性とコストをかけたパフォーマンスを考えれば、「高級」であると断言出来ます。
ただ、運針に関しては僕も一目でこのくらいなんて、目利きはとても不可能です。
出来て大体mmくらいかな~なってちょっとした予想位でしょう。
ただステッチが細かいというのは、一つの目安にしていいかと思います。
続いてシャツの縫い目になります。
シャツの縫いに関しては、一般的に最も高級とされているのが、「巻き伏せ本縫い」と言われる手法です。
折り伏せ縫いとも呼ばれます。
この手法は「脇」や「袖」の本縫いに見られる、一方の縫い代をもう一方で縫い包んでステッチでたたく縫い代処理のテクニックですが、これに関しても、細ければ細い程高級と評価されます。
文字で書いても、いまいちイメージがわかないと思いますが
裏側がこんな感じになります。
何故、こんなことをするかと言うと、その方が肌あたりが良いからです。
先にも述べた通り、シャツは元々下着です。すなわち素肌に着るもの。
生地の縫い端って、結構着心地に直結して、不快なんですよね。
その証拠に赤ちゃん用の服ってぼくも知らなかったんですが、縫い目が外側に出るようになってたりするんですって。
この巻き伏せなんですが、高級シャツと呼ばれるブランド全てが取り入れてるかと言われれば、実はそうでもないんです。
巻き伏せを得意とするのは、シャツの中でも比較的体にフィットした、サイズ感を好むイタリアシャツに多いと思います。※というかイタリアシャツはだいたいこれ
素肌で体に生地が触れても、不快にならないように一度ミシンをかけ、生地を巻伏せてもう一度ミシンをかける。
したがって、巻き伏せ本縫いなのです。
ちなみにこちらが、インターロック縫製と呼ばれる、いわゆるロックミシンで縫ったままの状態と、巻き伏せ本縫いの裏側を見比べた画像です。
比較するとこのような違いが出るので、表からでも分かりますが裏側も見ればすぐに分かります。
他にも「袋縫い」や「巻き縫い」という手法もあるのですが、それはまた別のお話しで。。。
続いて「袖の後付け」になります。これは当店で取り扱ってるイタリアシャツなら、全ブランドこれといっても過言ではないくらい、マストな手法ですが結構手の込んだやり方です。
一般的にシャツは、身頃と袖の脇を続けて縫い合わせます。これを簡易縫製と呼んだりもします。
こちらが簡易縫製の写真です。
わきの部分の縫い目が、一直線につながってるのがお分かりいただけるかと思います。
対して後付け縫製は、身頃と袖の脇を別々に縫いアームホールで繋げる手法です。
そのため、袖と身頃脇の縫い線がずれているのが大きな特徴です。
なぜこんなことをするのか?
それは、この方が身頃に対して袖を後付けるため、立体感があり肩の可動域も広くなるからです。
これまた、イタリアシャツに多いです。
その理由は、他のアメリカや英国に比べて、イタリア人のシャツのフィッティングがジャストフィットだったからとされております。
ピタっとしたサイジングが好みだけど、着心地や動きやすは確保したい。。。
そんな願望がこういう技術に集約されていったのです。
なので高級シャツ=全て後付け縫製かと言われると、実はそうでもないんです。
英国を代表するturnbull&asserや、アメリカの老舗Brooks Brothersなど世界的に有名なブランドでも、実は袖付けは後付け縫製じゃなかったりします。
僕もどちらも所有しているのでよく分かりますが、タンブルもブルックスもイタリアシャツ程、細くないです。
なので、そもそもゆとりがあるので、動きづらさを感じないです。
ただ、上記のブランドのシャツを着て結構細身の、ジャケットやスーツを着ると着心地はかなり悪いです。
イタリアのスーツにはイタリアのシャツ、英国のスーツなら英国のシャツ、なんて野暮な事は全く思わないタイプの僕ですが、それぞれ国柄やブランド毎の着用感の違いが見えて面白いなと感じます。
このように、高級シャツと言われるブランドでは、技術的な面におけるある一定以上のレベルを超えるラインがあるのは事実ですが、シャツメーカーによって考え方やその土地における最適も異なる為、その仕様はそれぞれなんです。
現在知られるようになっている高級シャツの「蘊蓄スペック」って、あくまでも我らがナポリ系を基準に語られているに過ぎないとうのも事実です。
なので柔らかく着心地抜群なナポリシャツの方が、質実剛健な英国の仕様のシャツより優れてるとかではなく、好みはあれどあくまで違いという風に認識して頂ければ幸いです。
フィッティングに拘るならやっぱりオーダー
そして当然最後は、フィッティングが物をいう訳です。
最高に美しいシルエットを、抜群の着心地で叶えたいなら、行きつくところはやっぱりオーダーになってくるのかなと思います。
オーダーシャツは言うまでもなく、ご自身の体型や癖に合わせた調整が可能です。
ご満足いただけるシャツをGETするコツは、正確に悩みや普段既製のシャツで、気になってる所を打ち明けて頂けると、なお僕らとしてもイメージしやすいです。
もちろん好きな生地、デザインや襟型で仕立てられるのも当然醍醐味ですが、ぜひ着心地でファンになって頂けると幸いでございます。
9/20~28までオーダーシャツのフェアを行います。
期間中は普段はお店に置いてない、国内外の生地を反物で多数ご用意しております。
さらにこの期間限定で、は特別プライス生地もご用意しております。通常価格\11.880円→\6.900円の特別プライスにて、写真の生地は展開させて頂きます。
型数で言えば三型、色違いを含めて合計7種類8種類ご用意しております。
また通常価格の生地でも、期間中は2着目以降オプション無料とさせて頂きます。
このように特典盛りだくさんでお送りいたします。ぜひぜひ足を運んで頂けると幸いです。
このブログでシャツに少しでも興味が湧いた方、ぜひとも足を運んで頂けると嬉しく思います。
それでは文でした。