この記事について
林商店の代表でもあり、Octetのバイヤーでもある林が、イタリア買い付けの際に感じた事を綴った特集になります。
僕達は、日本の男性がイタリアの魅力的なファッションを身に着けることで、さらに自信を持ち、元気に輝くことができると信じています!!
40代50代のおじさん世代も、イタリアのファッションは、スタイルと個性を際立たせるための最適な選択肢だと思っています。
全3話ですので、最後まで読んで頂けたらすごく嬉しいです。
Giannettoジャンネット
2023年オクテット大賞(旧でらでら大賞)の盾を直接手渡しをし、その上でインタビューをお願いしました。
(結果トラブルはなく良かったです)
イタリア人のファッション感覚についても聞く事が出来て本当に楽しかったので、最後まで読んで下さい。
ハヤシ:オクテット大賞受賞おめでとうございます。今回は、ジャンネットさんのシャツジャケットが受賞しましたので、感謝の気持ちを盾にしてお渡し致します。有り難うございました!
ヴィンチェンツォ:ありがとう!
ハヤシ:早速ですが、現在人気の「ジャンネット」を創ったきっかけを教えてもらっても良いですか?
ヴィンチェンツォ:20年前、18歳の時から正式に仕事を始めました。ただ、実際にはもっと前、自分の親がシャツの工場を運営していたので、そういう環境に生まれたことからスタートします。小さい時から親の働いている所を見ていたので、この道に進むんだと無意識のうちに決めていたのです。
ヴィンチェンツォ:学校から帰ると普通の子どもたちは外へ遊びに行くんですけど、僕は親の仕事場が遊ぶ場所でした。その仕事場を掃除し始めたことが、僕の初めての仕事でした。そのあと仕事をさせてもらったのは(本当の意味では仕事じゃないですけど)
遊びとしてはさみで布を切らせてもらうところから始まりました。
ちゃんとした仕事としては(お客様にとっての価値があるという意味で)、お客様からオーダーが来たシャツを包むのを手伝うことですね。
なので私は服に直接触ることではなくて、会社としてどういう動きをしているのか?というところから学びました。
ファッションについては、親の仕事を継ぎたいという思いで、いろいろな講習会などに行って専門的な知識を学んだのです。
ハヤシ:勉強しているとき既に将来の計画とかはあったのですか?
ヴィンチェンツォ:そのときに私が一番興味があったのは、従来のものより新しいファッションを目指そうとすること。布・生地をもっと新しい、今までにない生地を使って表現したいという事が、今も変わらず私の目標です。
もちろん、その時も、講習だけでなく、世界中のファッションをWEBや雑誌を買って勉強していました。もちろん今も継続しています。毎日勉強しています!
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ハヤシ:最初から商品として紹介したのはシャツになるのですか?
ヴィンチェンツォ:そうです。始めに私が自分の作品として出したのがシャツでした。
ありがちな話しですが、僕の一番のファンになってくれたのがお父さんでした。そのお父さんがもうスーツケースに入れて自分で売りに行きなさいっていう、アドバイスをくれたので、それからは自分で売りに行きました。
自分で作ったシャツを1軒1軒イタリア中を回って、営業しに行きました。
これが初めての僕の商品の歩みです。そして徐々にでは有りますが、ミラノの有名な百貨店にも並ぶシャツとして、イタリア人に認めてもらえるようになりました。
ハヤシ:イタリア人って割と家族の絆が強いと思うんですが、地元でも、やっぱりお父さんの仕事に就いてる人が多かったですか?
ヴィンチェンツォ:おっしゃった通りイタリアでは、家業を継いで仕事をするというのが一番多いパターンです。ただ今はちょっと変わってきてます。
ハヤシ:最初からファッションに興味があったんですか?
ヴィンチェンツォ:私はもうそれしか考えられなかったのです。でも、うちの親は家業を継いでもらうのは嫌だったみたいです。他の道に行きなさいって言われてました。
うちのお父さんは大学に行って、法律家か経済などを勉強して家業を継ぐではなく他の道に行ってほしかったみたいですが。
私はお父さんのシャツへの思い・血が流れていたのか、
もう絶対これしかないって!もう小さいときから決めていたので、その思いを実現しただけですね。
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ハヤシ:イタリア人はお洒落な印象がすごい強いんですが、それはイタリア人として感じますか?
ヴィンチェンツォ:イタリア人の血なんでしょうね。特に男性ファッションについては、やっぱり世界でNo.1だという血が通い続けている。これは僕たちのアイデンティだと思います。
ハヤシ:このNo.1という思いはずっと積み重なってますよね。
ヴィンチェンツォ:ありがたいことに、ずっとこれだけ長い間メンズファッションという分野で世界のトップの座に認められてるっていうのは、イタリアしかないんじゃないだろうかと思っています。
ハヤシ:日本では女性に比べて男性があまり服を買わない感じがするのですが、イタリアはどうですか?
ヴィンチェンツォ:イタリアは男性・女性にかかわらずファッションへの興味がとても強いと思います。
男性も店に入って、新しいものを探したり、どういった服が自分に合ってるかっていう興味は強いと思います。
ただ、僕が今知ってる日本は、日本人も変わってきたのではないかと思っていますよ。
ハヤシ:イタリア人は、男性も積極的に服を買いますか?
ヴィンチェンツォ:イタリアっていうのは、自然にしろ、食べ物にしろ服にしろ、
美しいもの、美味しいもの、そういうものに囲まれてみんな育ってきています。
自分自身もその思いが血として流れてるので、いつも自分自身も美しいもの・美味しいものを探す、そこからファッションへの想いも来てるんじゃないでしょうか。もう本当にDNAに近いですね。
ハヤシ:日本だと、男性は服を買う理由を求めたりしますが(例えばモテたいとか、良くみせたいとか)、格好良く見られたいとか、イタリアではどうですか?
ヴィンチェンツォ:私が思うのは本当の服を買う理由っていうのは、自分自身に投資をしていることだと思っています。自分自身を楽しませる、人の目を気にせずに自分自身がどうしたら美しい思いをできるかっていうことが新しい服を買う目的だと思っています。
だから、格好よく見せたいから新しい服を買う!とかは、あまりない感じがします。
ハヤシ:それは男性も女性も変わらないですか?
ヴィンチェンツォ:ファッションに対する想いは、男性も女性も変わらないです。
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ハヤシ:このような想いでジャンネットのシャツを作ってると思うんですけど、
ジャンネットのポイントはどこでしょうか?
ヴィンチェンツォ:私は作品っていうか、今、アート(作品)っていう言葉を使ったんですけど、
誰かに美しいものを与えない、それだけです。
それはどこのファッションの世界だけでなく、食事もそうだし、私が持ってる「美しいもの」を誰かに与えたいっていう意思で私はいつも仕事をしています。
ハヤシ:ヴィンチェンツォさんが、自分のもつ技術の中でシャツを創る事が得意だったという事ですか?
ヴィンチェンツォ:はい、そうです。一番それが私の美しさを、皆さんに表現できるのがシャツでした。
ハヤシ:最後に、ジャンネットのシャツの特徴があれば教えて下さい。
ヴィンチェンツォ:私は、ぱっと見ただけでジャンネットであるいうことを、すぐにわかっていただけるように、細かいところまでデザインしたつもりです。
太陽の刺繍に関しても
これは僕達のプーリア(南イタリア)が太陽に囲まれた場所だったので、そういった部分と、僕達は太陽がないと生きてはいけないので、ジャンネットのシャツはなくてはならない存在になるという思いで一点一点刺繍をしています。
次のシーズンのコレクションについては、
デニムであってもバリエーションを、そしてカラフルさを意識しています。
今回は色使いをすごく注目してください。
柄ものや
秋冬のコレクションですがリネンもバラエティに揃えています。
また、秋冬らしいコーデュロイの素材も揃えています。
このような沢山の表現・アイテムにも注目してほしいです。
ハヤシ:長い時間インタビューに答えて頂き、ありがとうございました。
本当に
まっすぐにイタリア人が持つファッションの感覚を伝えて頂き、
特に、
服はまずは、自分を喜ばせる為に選ぶ者であって、
誰かを喜ばせる為に存在する者ではないという発言にびっくりしましたし、確かにその通りだなぁと。改めてファッションの力をもっと信じなくてはと思わせて頂いたインタビューとなりました。
そして、そんな思いで創られたジャンネットの商品を
もっと多くの人に知ってもらえる様に努力しようと思いました。